何だかこっちが申し訳なくなるほど、低姿勢で誘われた。


ちょっと可愛い人だと思ってしまうんだけど。



「あっ、やっぱり奈々ちゃんは嫌だよね?
僕はこんなおじさんだし、それに…」


お母さんとお付き合いさせて頂いてるんだし。


恥ずかしそうに頭を掻いて、彼は照れたように口ごもる。


そんな姿に思わずあたしは声を上げて笑ってしまい、「じゃあ行こうか?」なんてママが口元を押さえた。


どう見ても良い人そうで、安心したんだと思う。


今まで、ママはカレシがいるとは言っても家に連れてくるどころか、気を使ってかあたしに会わせようとはしなかったのに。


だから心配してた部分もあるけど、これなら任せても大丈夫そうだな、って。


再び外に出て受付を済ませ、薬を受け取った。


それからすぐに、先生も私服に着替えてやってくる。


少しくたびれたスーツに洒落っ気はなく、ママとは一見正反対のようだけど、でも彼女を操る術は心得ているようで、何だかんだ言いながらも、言うことを聞いてあげてる感じ。


だからまた、あたしは笑ってしまった。


先生の車に乗り込み、連れられたのはレストラン。


制服姿のあたしは戸惑ってしまうが、でも家族っぽい感じがした。


シンちゃんやトキくんと以外でこういうのは、初めてだ。



「何でも好きなものを食べてね。」


笑うと目尻が垂れる人だ。


あたしとママと彼とで席を囲み、団らんのようで気恥しい。