ママが受付を済ませてくれ、少し待つと、内科に通された。


待ち構えていた先生は、どこからどう見ておっとりとしている、気の弱そうな人。



「ちょっと、溝端くん!
うちの可愛い娘なんだから、誤診なんて許さないわよ!」


「わかったから、静香さんはそっちで座っててくださいよ。」


あぁ、これが例のカレシか。


そう思ったが、でもママは心配そうに後ろからこちらを覗き込んでいて、正直邪魔だ。


溝端先生は2,3個あたしに状態を聞き、そして触診。


物腰の柔らかい人だと思った。



「ネンザだね。
シップと痛み止め出しておくから、それで数日もすれば治ると思うよ。」


はい、と言ったあたしに対し、ママが横から口を挟む。



「何でレントゲンも撮ってないのにそう言えるのよ!」


「だってどう見ても折れてないじゃない。
そんなに心配ならレントゲン撮っても良いけど、お金の無駄だよ。」


それとも整形外科の先生に来てもらう?


優しくそう言う彼に、ママは口を尖らせた。


やっぱり子供みたいで、こっちが恥ずかしいし、先生に対しても申し訳ないとしか思えない。


横にいた看護婦さんも、困ったようにクスクスと笑っている。



「ほらぁ、ママ!
先生が大丈夫だって言ってんだからもう良いじゃん。」


そしてあたしは彼にお礼を言い、立ち上がった。


すると先生は、「待って!」とあたし達を制止する。



「僕ももう仕事終わるし、これからみんなで食事に行かない?」