「それにしても、アンタ格好良い子捕まえたわねぇ。
さすがはママの子だわ!」


「うるさいってば!」


「もう、照れなくても良いじゃない!」


ぺしっと叩かれ、あたしは口元を引き攣らせた。


バレたらこんなことになるとわかっているからこそ、ママには内緒にしておきたかったんだけど。



「って、そういえば怪我してるんだったわよね?」


やっとそこで、彼女はあたしの足のことに気付いたようだ。


相変わらず、ママは自分のペースで喋ってばっか。



「こんなのただのネンザだってば。」


「そんなのわかんないじゃない!
もしかしたら折れてるかもしれないし、大変なことになる前に病院行くわよ!」


「大丈夫だって。」


「ダメよ、ダーメ!」


そして彼女は携帯を取り出し、タクシーを呼んだ。


数分後にはそれが来て、文句を言うあたしを無視で、無理やり車に乗せられる。


告げられた病院の名前は、ママの働いているところ。


反論しても無駄なので、諦めるようにあたしは、車内で勇介に謝罪のメールを入れておいた。


付き合って最初のメールがそんなのってのも、どうかと思うけど。