息を切らして保健室まで行き、勢い良くその扉を開けた瞬間、我が目を疑った。


と、いうか、どういう状況なのかがわからなかったのだ。



「…えっ、と…」


だって、沙雪とスッチが抱き合っていたから。


いや、正確に言えば、泣いている沙雪をスッチが抱き締めている、と言った方が正しいだろう。


どうして、彼が?



「見られちゃった。」


わざとのように場の空気を和らげようとおどけたのだろう、スッチは苦笑いを浮かべているけれど。


あたしはただ呆然と立ち尽くしたまま、未だ飲み込めない状況に困惑していた。



「ごめん、奈々ちゃん。
ちょっと来てくんない?」


「……へ?」


言葉とは裏腹に、彼はあたしの腕を引っ張った。


そのままもつれる足で保健室を連れ出され、スッチはあたしを階段裏に連行する。


やっぱりこの場所も当然のように人の姿はなく、彼はいつも通り、困ったように笑っているだけ。



「ねぇ、どういうことなの?!」


責めるとかそんなのではなく、何をやっていたのか、だ。


思わず声を張ってしまったあたしにスッチは、シーッ、と焦って人差し指を立てる。



「とりあえず説明するから、静かにして!」


まぁ、先生に見つかってはいつかの二の舞だ。


彼が内緒話をするようにしゃがみ込んだので、あたしも同じようにその場にしゃがんだ。


するとスッチは、



「俺、さゆのことずっと好きだったし。」