アイスを食べていても、ひたいにはじんわりと汗が滲む。


灼熱の地面は陽炎に揺れ、見ているだけでも気が滅入りそう。


そんな中であたしの携帯が鳴り、ディスプレイを確認してみれば、“樹里”と表示されていた。


ちょうど良いタイミングなので、ついでに彼女も誘おう、と思って通話ボタンを押したのだが、



『奈々、今何やってる?』


あーい、と出た瞬間に耳元で聞こえたのは、物々しそうな樹里の声。


何事なのかと思って隣の勇介を見れば、彼もどうしたのか、と言いたげな顔で眉を寄せた。



「…今は勇介といるけど…」


『なら話が早いわ!
悪いけど、ふたりで今から言う場所に来られない?』


「は?」


ただ事ではないのはわかるけど、でも、一体何だと言うのだろう。



「ちょっとちょっと、意味わかんないっての。
ちゃんと説明してよね。」


『ごめん、でも電話で話せる内容じゃないし。』


そして早口に店の名前を告げられ、とにかく来て、と言った彼女は電話を切った。


通話の途切れた携帯を見つめ、あたしは困惑するように小首を傾げる。



「樹里ちゃんだよね、何?」


勇介はそんなあたしに問うてきたが、説明のしようがない。