それから沙雪も輪に混ざり、みんなで文句の大会になった。


こんな状況になって、やっとあたし達3人は、元のように結束を増した気がする。


もちろんそれは、互いのことを聞かないからこそ、ってのもあるのだろうけど。


いや多分、それぞれに人のことを気にしてる余裕はないのだと思うが。



「大地に会いたいなぁ。」


沙雪はため息を混じらせた。



「会ってないの?」


「だってあたし、勉強できないから遊んでる余裕ないし。
それに大地も何か最近、忙しいんだってさ。」


ふうん、と言ったあたしと、そんな彼女の顔をじっと見る樹里。


やっぱり樹里は未だに、あたし以上に大地くんが気に入らないらしい。



「なら、別れちゃえばぁ?」


「ちょっと、変なこと言わないでよー!
さゆ、大地いないと死んじゃうんだって!」


「あーっそ。」


そこまで想える沙雪がすごいのか、それとも大地くんはそんなにも魅力的なのか。


呆れるあたしに対し、カレシのいない樹里は不貞腐れているようだ。



「まぁ、後ちょっと我慢したら夏休みになるんだしさっ!」


場の空気を変えようと笑って言ってみたものの、ふたりは脱力するようにため息を吐き出した。



「ねぇ、夏休みはみんなで遊びまくろうよ!
花火大会とか、海とかさぁ!」


「…女だけで?」


樹里は頬杖をついてあたしを睨む。


確かに女だけでは寂しいけれど、でも、どの男を誘っても良いことにはならない気がする。