教室へと戻ってみれば、樹里が机に突っ伏してうな垂れていた。


彼女は基本、テスト前には一応勉強するタイプなので、あたしや沙雪同様、今は真面目に過ごしている。


スッチとも変わらず仲良くしているようだが、その動向は謎のまま。



「あー、もう!
久々に勉強すると吐きそうだよ!」


「吐くならトイレ行ってよね。」


大して心配もしないあたしは、不貞腐れたように睨まれてしまうわけだが。



「てかさぁ、こう天気良いのに勉強しなきゃダメとか、青春無駄にしてる感じ!」


樹里は口を尖らせた。


あたしは苦笑いを浮かべることしか出来ないが、卒業したい以上、それは仕方のないことだろう。



「あー、癒しが欲しい!」


「スッチに頼んでみれば?」


言ってみれば、彼女は驚いたような顔をしていた。


ふたりは付き合っているわけではないとか言ってたけど、寂しがりの樹里のことは、彼も知っているのだし。



「何でそこでスッチが出てくんの?」


「だって仲良いじゃん。」


「やめてよー、そんなんじゃないっての。」


大袈裟に言った彼女に、あたしはチュッパを咥えてふうん、と返した。


スッチの良いところなんてたくさん知ってるので、樹里が惚れたとか言っても気持ちは分かるんだけども、でも、そんなんじゃないと言われてしまった。


だからそれ以上の言葉がない。