あたし達は職員室の前で、固唾を飲んでスッチが出てくるのを待っていた。


どれくらい経ったのかはわからないが、彼が職員室の扉から顔を覗かせた時、また泣きそうになってしまう。



「謹慎一週間だって。
おまけに持ち検されちゃって、煙草見つかってプラス一週間。」


スッチは笑っていた。


まるでそれが普通だったかのように、いつも通りに接してくれる。



「ごめん、スッチ。」


「ホントにごめんね。」


子供みたいに半べそのあたし達は、やっぱり口々に言うことしか出来ない。


でもスッチは、気にすんなってー、と言ってくれる。



「マジ、中学の頃だったら俺、岩井のことぶん殴ってたかもだけど。
いやぁ、大人になったよねぇ。」


わざとのように、彼はケラケラと笑うばかり。


あたしも沙雪も謝り倒すことしか出来なくて、ついにはスッチの方が困ってしまったようだ。



「まぁ、貸しってことで良くない?」


「…でも、それじゃあ…」


「だって今の俺、めちゃくちゃ格好良い人っぽいっしょ?
ふたり共、惚れてくれて良いからね。」


そう、おどけたように言って彼は、あたし達から歩を進めた。


きっと、本当に気にするなと言いたいのだろうけど、でも、そこまで薄情にはなれなかった。


恩着せがましくもなく、逆に「元気出せよー。」と言ってくれる。


あたしも沙雪も、その優しさに結局は、泣きっぱなしだった。