「スッチ、何言ってんのよ!」


「そうだよ、スッチは悪くないじゃん!」


あたしと沙雪は口々に声を荒げた。


でも彼は、その表情を変えることはない。



「別に良いって、謹慎くらい。」


その言葉に学年主任は舌打ちをし、沙雪を掴む手を離す。


代わりにスッチを掴み上げ、「とにかく来い!」と目を血走らせた。



「お前らは教室に戻れ!」


肩口を掴まれたまま、スッチだけ連行されていく。


ついには沙雪が泣き出して、でもあたしも泣きそうで、どうすれば良いのかがわからなくなる。


ふたりで途方に暮れ、やっぱり教室になんて戻れなかった。


こんなことならみんなで謹慎にでもなった方がマシだし、スッチだけが罪を被る必要なんてなかったはずだ。


いくら彼がみんなのまとめ役でお兄ちゃんみたいだからと言って、そこまでしなくても良いはずなのに。


だから自分たちが心底不甲斐無くて、結局は誰かに助けられている現実を知った。


無力なだけの、ただの子供だ。