沙雪はまた笑ってから、手鏡へと視線を戻す。


普段は馬鹿なだけのギャルのくせに、何だか知られているみたいで怖いのだけれど。



「アンタこそどっち派なのよ?」


「さゆは土屋派でーす。」


「…何で?」


「だってあっちのが格好良いの多いじゃん。」


あそ、と呆れた。


つまりは勇介のグループってのはチャラいのが多くて、ヤツもその中のひとりってことだろう。


ヒロトのオラオラ系グループとは対立してるらしく、やっぱり面倒なことになった気がした。


まだ横から何か言ってくる沙雪を無視し、あたしは何もない机に突っ伏す形で話を終わらせる。


考えること自体面倒だし、何かもう、夢なら醒めてよ、って。


勇介なんて男は、存在していない魔法使いなのだと思い込みたかったのだ。


春を少し過ぎた陽の光に照らされながら、眠りに落ちた。