あたしの頭を撫でる彼の手の平は、まるで子供をあやすようだった。


だからやるせなくて、なのに勇介は、困ったように笑いながら、あたしの顔を覗き込んで来た。



「泣かないでよ。」


泣かせた張本人が言うなよ、って感じだけれど。


涙目で睨み上げるも、きっと迫力なんて欠片もなかったろう、また笑われた。


だから悔しくて、ぺしっと叩いてやる。



「ほらぁ、すぐ手が出る。」


やっぱり彼にとっては予想の範疇だったよう。


結局あたしの全ては、勇介に見透かされているということだろう。


空が青くて、なのに視界は涙で滲み、きっと今のあたしはブサイクに違いない。



「見ないでよ!」


「可愛いのにー?」


「うるさい!」


勇介は、やっぱり楽しそうに首を傾ける。



「あたしもう帰るから!」


「…学校抜けるってこと?」


当たり前でしょ、と強く言った。


首元にはキスマーク、おまけにこの泣き顔で普通に教室には戻れないし、今更授業なんて受けられない。


なのに彼は考えるように一度宙を仰ぎ、じゃあ俺もー、なんて言う。



「一緒にどっか行こう?」