ぶっちゃけ沙雪は、本当に一日中鬱陶しくもノロケていた。


幸せオーラ全開で、何だか羨ましい限りだと思ってしまうが。


で、放課後。



「ねぇ、どう思う?」


あたしと樹里は、デートのために早々に消えた沙雪抜きで、作戦会議。



「いくら何でも早い気がするけど。」


「でもお互い好きなら、うちら口出せなくない?」


どうやら樹里も、大地くんでは不安らしい。


沙雪の今までの恋愛のこともあり、だからあたし達は余計に気を揉んでしまうのだ。



「てか、奈々こそ勇介とどうなったの?」


「だからさぁ、別にお互い恋愛感情ないし。」


「でもアンタ、勇介のおかげで機嫌直ってんじゃん。」


さすがに言葉が出なくなる。


不貞腐れるように口を尖らせていれば、樹里は頬杖をついて視線を窓の方へと投げる。



「あたしさ、もうツカサと別れようかと思って。」


「…え?」


驚いて彼女を見るが、ため息を混じらせるその瞳がこちらに向くことはない。



「段々冷めていくんだよ、気持ちが。
向こうは好きだし頑張るとか言ってくれるんだけど、あたし自身が無理だー、って。」


樹里は力なく笑った。


その顔に夕陽が射し、余計に寂しそうに見えてしまう。