翌日、嫌々ながらも学校に向かうと、校門の前でバッタリ会ったのは、樹里とスッチのふたり組だった。


ヒロトの姿はなかったけど、それが逆にあたしを脱力させてくれる。


曇り空の下で昨日のことを話すでもなくダラダラと歩いていると、キャピったギャルが目を輝かせて駆け寄ってきた。



「さゆ、おはー。」


だけども彼女は、返事より先に笑う。



「ねぇねぇ、聞いてよ!」


彼女は樹里とあたしの腕を取り、きゃっきゃと騒ぎ始めた。


何事なのかと思っていれば、



「さゆね、大地と付き合うことになったよ!」


その場の全員、ぎょっとした。


昨日別れた後に何があったのかはわからないけど、でも呼び捨てになっている辺り、事実なのだろう。



「ちょっとアンタ、待ちなさいよ。」


「そうだよ、どういうこと?」


詰め寄るあたし達と、苦笑いのスッチ。


沙雪はわかってもいないような顔で、「何が?」と可愛く首を傾けた。



「あの後ね、大地と街でふらふらしててぇ、そしたら好きって言われたの。
んで、あたしも好きって言ったらチューされた。」


おい、こら。


とんでもなく軽く言ってるけど、そんなんで良いのかよ。


全員が口元を引き攣らせるが、沙雪はやっぱり気付かず、昨日のこと思い出したように頬を赤らめる。



「つか、それって誰?」