謝れよ、と言いたくなるが、それをぐっと堪えた。


そしてあたしはこめかみを押さえ、口を尖らせる。



「別にもう良いけど。」


正直、あまり長話をして先ほどのことを蒸し返されると困る。


てか、機嫌の直ったらしいヒロトをまた怒らせるようなことも言えないし。



『なぁ、泣いたのって俺の所為?』


「自惚れないで。」


『可愛くねぇ女ー。』


「うるさいわよ。」


馬鹿女め、と鼻で笑った声が響く。


まぁあたし達は、これで一応は仲直りという形なのだろう。



『つーか先に言っとくけど、俺は土屋嫌いだから。』


「…だから、何?」


『向こうがその気なら、こっちもそろそろマジで行くって意味。』


「は?!
意味わかんないし、アンタ何する気?!」


なのにブチッと通話は遮断された。


あたしは口元を引き攣らせ、携帯の画面を凝視したが、意味はない。


ぶっちゃけ、卒倒しそうだった。



「電話?」


わっ、と驚いて顔を上げてみれば、お風呂上りの勇介の姿。


どうしてこう、みんなあたしの寿命を縮めたがるのか。



「何かすげぇ叫んでたけど、どした?」