それが本当かどうかは知らないが、でも今は、正直そんなことはどうだって良い。


唇を噛み締めるようにベッドに腰を降ろしてみれば、ふたりはそんなあたしを困った顔で見つめていた。



「あたしが悪いわけ?」


「誰もそんなこと言ってないじゃん。」


「でもそう思ってんじゃん!」


「思ってないし、奈々ちょっと落ち着きなよ!」


樹里に制止され、あたしは苦々しさを噛み殺した。



「勇介くんも帰ったみたいだよ。」


沙雪がしゃがみ込んであたしの顔を見上げてくる。


勇介が帰ろうがどうしようが、あたしには何の関係もない。



「ねぇ、うちらも帰ろうよ。」


樹里はぽつりと呟いた。


と、いうことは多分、教室に戻ったってろくでもないということだろう。


悔しさとか、腹立たしさとか、苛立ちとか、悲しさとか。


そういうの全部の中で、気付けばあたしは涙を零していた。


沙雪はぎょっとした後でおろおろとし始め、樹里は困ったように肩をすくめる。


一日中降りしきる雨の音と、床に散らばったピンセットやガーゼの束。


ただ、どうしようもなくやりきれなくなるのだ。


それと同時に、そんな自分自身に心底嫌気がさした瞬間だった。