アリスの作り方

「私は……そんな……。」


すごい人ではない。
ただ当たり前のことを言っているだけだ。

「あなたのような優しいお方で」

別に優しいことすらも考えていない。
いくら日本が平和とはいえ国同士の争いや内部紛争がどんなものかは知っている。
だからこそ……こんな現実が目の前で起こって欲しくないと願っている。
ただの逃避に近いものである。
だからこそ二人の言うとても重く感じる。


「優しくなんかない!」

いらいらしているせいか口調がきつくなる。

「私は……私は……。」

自分の事を自分で考えるたび醜い感情があふれてくる気がする。

周りが見ている私は私であって私ではない……。


私はただの“その他大勢”

どんなに頑張ってもあなたたちの考えているような“アリス様”には到底なれない。


「誰もが皆、完璧な存在ではないですよ」



そう心の中で叫んでいたら、ビルさんが励ますように優しくいってくれた。