アリスの作り方

「……。」

ティックが敵なのか味方なのか相変わらずわからない。
それでも続く説明を聞くしか私は出来ない……。

「アリス様が先ほど見た涙の海です」

そんな私の思いとは裏腹に、ビルさんの説明にティックが補足するように話した。


あの……哀しい海……。

すごく哀しくて見ているだけで辛かった。


「だからって……。」


新しい国を作るのはそんなに簡単なことではない。
女王を倒したからって全て変わるわけではない。


たとえ上が変わったとしても大事な……国民は変わらない。


倒すだけではなく、倒した後のことを考えるのが一番大事である。



「あなたたちが作る世界が正しいかもわからない」


理想だけ考えているようなレジスタンス……そんな存在にはなりたくない。


「あなたが……アリス様でよかったです」

ティックが少し微笑みながら呟いた。