「その……僕は要らないです……。ビルの作ったケーキは何が入っているかわからないので……だから食べないで欲しい……です」
そんな私に対し謙遜というよりも恐縮しながら答えた。
それよりも“何が入っているかわからない”ってどういう意味なのだろうか。
言葉通りの意味だと思うが、ロシアンルーレットの様にわさびやらからしやらが入っているのだろうか。
想像するのも恐ろしい。
気になって少し引きつった顔をしながらビルさんを見てみるが、相変わらずクスリと笑ったままだ。
……。
気のせいだろうか……嫌な汗が出てくる。
「えーっと……。」
なんと言えばいいかわからなくなる。
どうすればいいかわからず泳いでいた目線を私の中で解説者となっているティックへと移動させる。
私と目が合うとティックは少し恐縮そうに話し始めた。
「ビルの趣味は製薬でして……その……時々……ケーキに何かの薬品が混入させるんです」
何か嫌な過去があるのだろうか少し目が潤んでいる。


