「他にこのお茶に合いそうなお菓子を焼いているのですが召し上がりますか。」
何故か止まらない変にニヤつく自分を抑えながら啜るようにお茶を飲んでいると、柔らかい口調でビルさんが再び声を掛けてきた。
「はい!」
私もやっぱり女の子である。
つまりはこういったお菓子に弱いわけで……。
たぶん今までからは考えられない元気な返事をしてしまった。
恥ずかしがりつつもビルさんをそっと見てみると……。
少し驚いた表情をしている。
それを見た瞬間恥ずかしさが全身を駆け巡るように段々と体中が熱を帯びてくる。
「……。」
体が熱を帯びることに集中しているのか言葉すら出ない。
「貴女はそんな風に笑っていたほうが素敵ですよ」
ビルさんを固まったまま見つめていたら私をフォローするように優しく目を細めながら言うと台所に向かうためかドアへと向かう。
”ガチャ”
ビルさんが居間のドアを開けた瞬間、ビルさんの作っているお菓子の匂いなのかこの空間の雰囲気なのか甘い匂いがほのかに匂った。


