「それにしても二人とも泥だらけですね。お風呂を沸かしてあるので先にシャワーを浴びてきますか」
私の緊張をよそにまるでお母さんのようにクスリと笑いながら優しく言った。
「あの…ゆっくりして大丈夫なのですか?」
「えぇ……ここは私たちのアジトなので、ここ以上に安全なところは無いですよ」
子供に言うようにビルさんが優しく言った。
ビルさん達に誘導され浴室へと向かう。
外観に似合わないシックな廊下を二人についていくようにおずおずと歩く。
そこまで広くはないのですぐに目的地に着く。
「ごゆっくりしてどうぞ。着替えはティックが前着ていた服になってしまいますが、置いておくのでそれを着ていただけませんか?」
「はい」
「汚れた服はそこのかごに置いといてください」
優しく言うとすぐ脱衣所の扉を閉める。
服を脱ぎ、一つ一つ畳みながらかごへと入れる。
下着も一瞬躊躇したが、隠すように中に入れた。
お風呂でのんびりといきたいところだが、落ち着かないので私はシャワーを浴びて体を洗うとすぐに浴室から出た。
それでも海の中に入ったり、土ぼこりの中に走っていて気持ち悪かった体を洗うことができて少しすっきりした。
お風呂から出るとビルさんが用意してくれたティックの服と着替える。
男物のせいかすこしぶかぶかするが、それでもティックが男の人の中ではそこまで背が高くないせいか着れないわけではなかった。
女物の下着も何故か用意してあった。
サイズは少しゆるめだったが、何もつけないよりはと少し恥ずかしい気がしたが、使わせてもらうことにした。


