異世界の国……そんな言葉に似合うように私の目の前には絵本の中にあるような森が広がっていた。


日本ではまずありえないとても綺麗な景色……。


私のいた世界での日ごろの喧騒がうそのように思えてくる程だ。
鳥の鳴き声、風の音、森のざわめき……そんな自然の音ばかりで、機械などのような人工の音なんてまったくしない。


“バタバタ”


その中で唯一私たちの足音が騒音のようにこだまする。


車があれば楽なのに……。

メルヘンな世界なのでバイクや車など……人工的なものはないと思っていた。
だが私のそんな固定概念を壊すようで存在するらしい。
そう考えてみるとさっきもクルーザーに乗った。


ティック曰くただ森がとても入り組んでいるため、人が走るには問題ないが車やバイクは通れないらしい。

だからといって特に道を整備するわけではない、環境問題とかそういって理由ではなく、ただ単に誰もしようと考えていないかららしい……。


なんて大雑把な世界。


やっぱり今日何度目かの理不尽な納得方法


“不思議の国だから”



半ば開き直りながら諦めのように呟いた。