「クロノスさん」
「離したく……ない」
見えないので表情はわからないが切なそうな声だった。
“ドクドク”
そう一言言うと私の温もりを感じるように私の肩の上に顔を乗せる。
それ以来クロノスさんは何も言わず、彼の心音だけが耳に聞こえてくるようだった。
「あっ……そうか僕はルイを愛しているんだ」
頭の中でも整理していたのだろうか、突然私から体を離すように肩に手をのせると突然ひらめいたように告白をしてきた。
「えっ……と……。」
ムード0のたぶん告白だと思われる彼の言動にとまどいながら。
「だって愛するって相手を慕う…――いつも会いたい、いつも一緒にいたいと思うことでしょ。僕は君と離れたくないし、ずっとこの時が続けばいいと思うから」
爽やかに言う。
たぶんクロノスさんは今の彼は自分の感情の一つ一つを探しているんだろう。
実際に聞いた話と体験することは違う。
そんな風に感情をそのまま言葉にする彼には何の打算は見えない……。
これ以上無邪気でこれ以上純粋な告白はないだろう。
「私もだよ……。」
そんな彼に好きなんて言っても、それが薄っぺらく伝わるような気がして言えなかった。
赤くなった顔を彼の胸に隠すようにうずめると、その瞬間ギュッと私を強く抱きしめた。


