「え……えっと……。」
起きる前に起った色々な事が頭に浮かんでくるようで、頭の中が整理つかずに混乱してしまう。
告白して、勝手に唇まで奪って……。
「その……。」
何か言いたいが言葉が全く出てくれない。
「ここは……僕らの夢の中……。」
そんな風に混乱している私とは正反対に冷静にクロノスさんが私に説明するように言った。
「夢?」
「そう……夢。欠けてしまった僕らの心を直すために作られた世界」
欠けてしまった?
私の心は欠けていないはず。
それに私は諸悪の根源である女王を倒した。
そうしたら帰れるはず。
けど……
ここは元いた世界……と言うわけではなさそうだ。
「ルイのおかげで僕は消えなくて済んだけど、その代わりに僕らは100年の眠りにつく事になってしまった」
それから私に近づいて髪をそっとなでる。
彼の唇が視線に入るとそれだけで顔が熱くなるようだった。
「僕のせいで……ごめんね」
悲しそうな表情で私を見つめる。
悲しそうな表情で……
「感情が……。」
たぶん今まで感じていた違和感はこれだろう。
感情のあるクロノスさん。


