「えぇ、お願いします」


そんなに爽やかな笑顔で言われても……逆に憎々しく見えてしまう。

高いところから落ちて死にかけたと思ったら次はこの仕打ち、初めからこれだと後々どんな事が起こってしまうのだろう。
この先の未来を悲観しながらビンを持ち立ちすくんでいると、ティックが私の手の上に手を重ねる。


「貸してください、初めに僕が飲みますよ」


そう言ったのでティックにビンを渡した。


「僕に続いて飲んでくださいね」


そう微笑みながら言うとティックはそれを少し飲んだ。


その後私にビンを渡すとティックの体に異変が起こった。



ティックの体が段々と小さくなった。


「……」


私はその様子を固唾を飲んで見つめる事しか出来なかった。
現実ではありえないことが目の前で起きているのだ、なんて反応すれば良いか分からない。


そう考えているうちにもティックは小さくなっていく。
そして、落ち着いたなと思ったら、私の手のひらくらいの大きさになっていた。


私の方を見て何か叫んでいる。

はやくして下さいとか言っているのだろう、何を言っているか全く聞こえないが……。

ため息を一つつくと、私はビンを持って躊躇しつつもあきらめてそれを少し飲んだ。


「変な味……」


それは見た目どおりわけの分からない味だった。

美味しいのか不味いのか、甘いのか辛いのか……私の今までの経験では表現しきれない味だった。

そう思ったのも束の間、私のからだが熱を帯びてきた。