「あそこにあるドアを通っていきます」



ティックが指差したのはこの部屋の床だった。
怪訝な表情でその場所を見つめると、その先の壁に、ねずみが通れるくらいのとても小さい……ドアのようなものがあった。


「どうやって?」
「この薬を使うんですよ」


部屋の中心にあるテーブルに近付きながら説明する。
そして言い終えるとテーブルの上にあった瓶を持ち、私に渡してきた。


「何これ?」


それは私の手に収まるくらいのガラスで出来ている瓶。
良く見ると、中には変な色のした液体が入っていた。
そして瓶の蓋についていたラベルには一言……。



“私を飲んで”


って書かれていた。
私を飲んでって……。
いやなんだけど。
なんか見るからにヤバそうな液体な気がする。


「飲みたくないのですが……飲まなくちゃいけませんか?」


ついつい笑顔が引きつり敬語になった。