それよりも……
夢って確か自覚したら自由に操る事が出来るんだよね。
何かそんな番組をこの前やっていた覚えがある。

そしたらさっき来た扉を開いたら、元の場所に帰れる。
そして何事もないいつも通りの生活を過ごすんだ。


くるりと振り返り、先ほどのドアを開ける。
いつもの通学路をイメージしながら。


けど……。


目の前に広がったのは先程と同じ光景だった。


「まじか……」


溜息のような呟きが自然と出てきた。



「アリス様?」


今まで、私の行動を不思議そうに見ていたのだろうティックが申し訳そうな表情で私に声をかけていた。


「どうしたの?」
「先程から何かお探しでしょうか?」
「あ、あぁ……えっと、この部屋出口ないから」


今までの奇妙な、行動をごまかすように、頭の中に浮かんだ言い訳のようなものを言うと彼は、はいっとピシッとして、口を開いた。


例え夢でもいつ目が覚めるか分からない状況。
目が覚めるまで、とりあえず先に進もう。


自分の適応力の高さ関心してしまいたくなった。



「いたっ……」

それでも気になって、何気なく頬を抓ったら少し、痛みがした。