「そうだ……結婚だ。私の息子と」
この国はたぶらかすと結婚しなくてはいけないのだろうか?
それ以前に私はクロノスさんをたぶらかしてなんていないし。
だから……
「クロノスさんは……。」
どう思っているのでしょうか。
母さんから命令があったから結婚なんて、こちらとしてはあまり嬉しくない。
そうたずねたいが、女王は私の話を聞かずに、話を続ける。
「式は早いほうがいいな」
(式って何?)
私の事など気にせず、何か考えているのか視線を空に浮かせて、ぶつぶつと呟いている。
「……。」
「明日の明朝、式の執行を行う。スペード隊長。アリスを連れて行け」
そう続けると、私はスペードさんに何処かへと連れて行かれた。
先程通った味気の無い廊下を通ると、いかにもお城らしい、赤いじゅうたんが引いてあり、所々に芸術品の置いてある廊下を通り、そして牢屋と言うには豪華すぎる部屋に私は連れられてきた。
王子様の恋泥棒という名の犯罪者にはお似合いなのかもしれないが。
その部屋はまるでお姫様が居そうな部屋。
明日から私はお姫様になるので、その言い方はあながち間違いではないと思うが。
映画などで見る、屋根のついたベット。
いくらするのかと思ってしまう、化粧台に床も高そうな絨毯がひいてある。
勿論電灯はシャンデリア。
「とりあえず、お前は此処の部屋だ」
私がその部屋に圧倒されていると、横からスペードさんの声が聞こえた。


