「ありがとうございます」
スペードさんの優しさを噛み締めながら照れながら言うと、スペードさんは思い切り視線を外しながら一歩進み。
「俺は……あいつらにお前の事を頼まれたから仕方ないだけだ」
行くぞと一言言いながら先へと進んでいった。
「は……はい」
そんな彼についていこうと、今までへたり込んでいた地面に手をつき立とうとした瞬間、私の体が急に軽くなった。
「あれ」
目の前には、端整な顔立ちの王子様……。
私はクロノスさんにお姫様抱っこをされていた。
「歩くの大変そうだったから」
そんな台詞を言いながら、絵本なんかに出てきそうな王子様のような事をする王子様。
そんな彼の端正な顔立ちを見ていたら顔が熱くなるようだった。
「ルイ。君を助けなきゃいけない気がして」
無表情だが、更に意外な言葉にドキドキして心臓の鼓動がいつも以上に速くなっているようだった。
バラの生えた庭をくぐると疎此処にはお城があった。童話なんかでありそうな。
ただ王子様は私をお姫様抱っこしているので、王子様はいないが。


