「ルイ様。僕は弱くてあなたを守れないようです」


今にも泣きそうな表情で言うティック。
頼りないうえに敵に私を売っている状況なのだがどうしても彼を恨むことなんかできなかった。


「だから、僕はどんな手を使ってもあなたを守ります。例えあなたが敵の手に落ちようとも……それ程あなたにこの世界にいて欲しいから……だから……ルイ様、すみません」


そう続けると、私に対してひざまづき何処かへと言った。


「さようならは言わないでください。三人で暮らせるようになったら、また迎えに行きます」


ビルさんも恭しくお辞儀をすると、切なそうに微笑みながらティックと同じ方向に消えていった。




一人状況の読めない私は奇妙に彼らの行動を見ていた。


「アリス」


彼らが私たちの目の前から消えると、急にスペードさんが声をかけた。


「どうしたのですか」


スペードさんは私を好きではない。

そんなイメージがあるせいか、いぶしかげな表情で見ながら言うと、スペードさんは言い辛いのか視線を外しながら呟くようにボツボツといった。


「おとなしくしていたら、女王はお前を殺さないはずだ」


だからとりあえずおとなしくしていろと続けながら、頬をかいた。