「わか……りました。スペード=リターあなたを信用します」


しばらく続いた沈黙をティックの言葉が破った。
ポツポツとティックから紡がれる言葉。


「……。」


何も言わずに見つめる。
いや、あんな哀しそうな表情をしながら言うせいか何とも言えなかった。


「僕も……母さんに頼んで何とかしてもらう」


一瞬の間の後に淡々とした口調で王子様が話す。

意外な人物が意外な言葉を口にしたせいか皆の視線が一斉に集まる。
だがとうの本人は無表情で何も言わずに立っていた。


「兄さん」
「兄さん?」


語尾を下げながら鸚鵡返しで言う王子様。
確か王子様には弟が居ることなんて知らない。


「何でもないです」


うっかりと出てしまった言葉を隠すように手で隠すと、そうクロノスさんから視線を外すように言った。



それから私の方を向いた。