「お前らは助かるのに?」
「スペードあなたも僕と同じ気持ちなはずだ。ルイ様を傷つけたくない」


兵士に囲まれて何も出来ないのに、それでも凛とした様子で私の前に立つ彼が少しかっこよく見える。


「ここでアリスを捕えられなかったら、アリスの命の保証は出来ない」
「……僕が守って見せます!!」
「お前らの居場所も全て把握している」
「わかっています」


スペードさんの言葉に噛み付くように話すティック。
確かにボウ君も知っていたが……。
そんな事実に驚きもせずに、ただ一心にスペードさんを見つめていた。


「だから……ティック。アリスは俺を任せろ」
「?」


スペードさんが気まずそうに目線を外すと、ぶっきらぼうに話した。
思いもよらないその台詞に対し、ティックが動揺しているようで、少しティックの体が動いた。


「俺は軍人だから。城の中で守ることを出来る」


視線を外しながらスペードさんが続ける。
その意外な発言に兵士たちもぽかんとした表情でスペードさんを見つめていた。