「……。」


スペードさんも私と同様に何も言わずにただ真守さんを見る。


「ありがとうございました。悔しいのですが、縲ちゃんをお願いします」
「言われるまでもない」


そう言いながら真守さんから目線を外すように後ろを向いた。
そんなスペードさんの行動を哀しそうに見ると次はティックとビルさんに目線が移る。


「ティック……ビル、ふがいなくてごめんね」
「そんなわけ……」


ティックが真守さんに言いかけた瞬間に……



まるで木の葉が落ちるようにふわりと消えてしまった。



「そんなわけないに……決まっている」



静寂の中にティックの叫びのも似た言葉がだけが寂しく響いた。


「だから……お前は嫌いなんだ」


スペードさんが私に聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。

目の前から大切な仲間が消えていく様な喪失感を感じ私は土の上にへたり込みながらさっきまでジョーカーさん……いや真守さんがいた場所を一点に見つめていた。


私は……どうすればいいのだろう。




それはあらかじめ予測できたことかもしれない……だけど私には目の前の現実を受け止めることが出来なかった。