「ルイ様の方が救世主として相応しいからです」
「私なんか……。」


目の前の真守さんを助けられないのに……。
彼らのお荷物になっているのに……。


「縲ちゃん」


ティックの話に割り込むように真守さんが私の名を呼んだ。
彼に視線を戻すと半分景色と同化しているのに、とても力強い視線で私を見つめていた。


「……。」


彼のその迫力に圧倒されて、その瞳に吸い込まれるように私も見つめていた。


「俺は一足先にリタイヤだけど……。後よろしくね」


私と視線が混じると、重々しい口調で話した。
自分の置かれた状況よりも、私やティックやこの国の人々のことを考える真守さん。


こんな彼より私がアリスに向いているなんて可笑しい。


「真守さん……。」
「隊長」


私のあふれ出てきそうな言葉が彼の人差し指により止められた。
それからふわりと微笑むと、私からスペードさんへと視線を移動した。