「ふーん」
「たくさん……。私が……“アリス”が死んでも替えがいるから問題ないんだって」
「……。」


何も言わずにけれどたまに相づちを打ちながら私の話を聞いてくれる王子……。

たとえそれが無表情でも私にとっては彼の存在が温かいことには変わらなかった。


「私はここにいる必要も意味もない」


自分の言う言葉の一つ一つが胸に刺さってくるような感覚で、再び涙が溢れてくる。


「皆にとってはただの大勢の一人で、誰も私を見ようとはしない……だから……ひっく……ひっく」


しゃべろうとするのだが、泣き声と嗚咽が混じってうまくしゃべれない。


「そんなに急いでいう必要はないよ……じっくり頭の中で落ち着いて話せばいい」


私の横に座ったまま言う王子。


「ひっく……ひっく……。」


私の嗚咽が静寂の中寂しく響いた。

まるで自分で溜め込もうとしたものが溢れてくるように、出てくる涙。

会ってから時間も経っていないのに、王子に心を許しているようで不思議だった。



けど……何も言わずにただ私の横にいてくれる王子様が温かい感じ。


その感覚だけで彼を信用する理由として十分な気がした。