けたたましく頭の中に入ってくるようでめまいがしてきそうだ。


「そろそろ裁判の時間だ」


王子は煩いから気分が悪くなるなんて感情がないようで、相変わらず淡々と言いながらジャケットの胸ポケットから懐中時計を取り出す。
それを少しいじるとけたたましい耳障りな音が止まった。


「裁判?」


この国は王子が立法を握っているのか?
確かに私情を挟まない……というより挟めないから彼以上に適任はいないと思うが……。
状況を伺うように怪訝な表情で彼の行動を見る。

彼ならわかりやすく説明書の様に説明してくれるから。


「義母さんが裁判をやる時間。いくら刑罰が決まっていても、僕は王子だから出る必要がある」
「決まっている?」


決まっているなら裁判をやる必要はないのではないか。


流石……不思議の国



「死刑に決まっている。義母さんの機嫌を損ねたんだから」


“ゴクリ”


相変わらずの悪女っぷり……そんな話を聞くとあんまり気分が良くない。


あなたはどう思うの?


そう聞きたいがたぶんわからないと答えが返ってくると思うので聞く意味がない。

「そうなの」

心の中にある嫌な感じが冷たくなって口から出てきた。
何も出来ない自分の未熟さがどうしようもない程に歯痒く感じる。
何かを言いたくても何を言えばわからない……声が出てこない。


たぶん今の私は王子並に冷淡だろう。