“ふう”
吐瀉物の代わりに吐いたため息のおかげか少しだけすっきりした。
「観察してどうするつもりだったんですか?」
興味なんて感情があるのか疑わしい。
「サンプルとしてあなたの感情の情報を手に入れるつもりでした」
「サンプルって?」
「スペード=リター隊長のあんな表情は見たことなかったので、あなたと話したら感情のレパートリーが増えると思いまして」
感情のデーターを蓄積していくなんて、人形というよりロボットのようだ。
「おかげで色々データーが増えました。ありがとうございます」
淡々とした台詞を言い終えると、まるで機械のように頭を下げた。
“チリリリーン”
するとそれが何かのスイッチだったのか、けたたましい目覚まし時計のような機械音が森中に鳴り響いた。


