けれど……
そんな話をしているのではない。
「……良くない」
「どうかしたのですか」
「命令がないからって理由だけでは信じられない!」
感情がないから当たり前かもしれないが、彼の読めない行動の一つ一つが癇に障ってきた。
「敵なのに……どうして……。」
敵なのか味方なのかはっきりしたかった。
なぜそう思っているか……そう聞かれても答えられないが、このぬるま湯につかっているような感じが不快でたまらなかった。
吐き気がしてくる。
このまま口から吐瀉物を吐いてしまいたいような、気持ち悪いとしか表現できないもやもやしたものが生まれてきた。
「あなたは敵でも味方でもありません。」
「……。」
わけがわからない……いっそここで敵といってくれればそれだけ楽な事は無いだろう。
「あなたは自分に害をなすものではありませんので。それに僕はあなたに属していません」
頭が痛くなりそうなくらいとても理論的に答えてくれる。
要は先ほどいった“命令が無いから殺さない”だろう。
本当に人形みたいだ。
“カチャ”
どうでもいいというのだろうか、自暴自棄にでもなったように私の手からダイナが離れた。


