アリスの作り方



「……。」


感情がない?
急に話のベクトルが反れた。

確かに今迄から見ると感情を感じられないがそれにしてはわざとらしく感情を作っている。


「喜怒哀楽がわからないんです」
「どういう事?」
「感情の部分がなくなってしまって。皆からは女王の人形なんて言われています。僕自身、別に人形のようでいてもいいと思っているけどまわりに怒られちゃいまして『王子は人間なんだから、もう少し人間らしくしなきゃ駄目だよ』と……。それからは馴染むようにしているにですが」


感情が欠けている……昔読んだ魔法使いの話と似たような事だろう。
心を欲しがるかかし……いや……木こり……どっちだったっけ。
曖昧にしか覚えていないが要はそんなとこだろう……不思議の国なのだから。
口癖になりつつなる理不尽な証明が心の中に浮かんだ。


けど


「ならどうして私の感情がわかるの?」


さっき“驚いた”といったはずだ。
それに私が敵意むき出しなのもわかっていた……。
彼の言葉は矛盾している。