アリスの作り方



「何かおかしなことしましたか?僕」


相変わらず先ほどと同じで表情を変えずに語尾だけ下げる。


「あっ……そうでしたね。初対面の方に急に通称で呼んでしまったから驚いているんですね」


今度は作り笑いをしながら……。
私は別にそう言う理由で見ているわけではない。
初対面の人にアリスといわれるのは慣れているなんて自虐的な話は置いといて。
彼からはまるで蝋人形に機械の心臓が組み込まれたように感情が感じられなかった。


「失礼でしたよね」


私の考えは気付いていないのだろうか、すみませんでしたと少し頭を下げながら作ったような寂しそうな表情をする。

その為本当にそう思っているのかはわからなかった。


「僕の名前は……忘れたので言えませんが、周りからは王子と呼ばれています。この国の女王の養子なので」


女王の養子……頭を上げると淡々とすごいことを言った王子様。
その潔い発言のせいか一瞬空耳だと思ってしまう。


「……。」


何が起こるかわからない……その為様子を伺いつつ右手はダイヤ付近に持っていった。