それからは他愛のない話がはじまった。
ビルさんの薬の話とか“悪女”の話など……。

けれどそれは彼らが私に気を使っているような感じがして正直快いものではなかった。





ここまで来たのだから引き返すわけにはいかない。


選ばれてしまったのだからしょうがないと半ば開き直りに近かったが、それでもそれからしばらくはダイナと共に過ごした。

持っているだけでは役に立たないので華奢な割に戦闘力はそこそこあるティックに扱い方を教えてもらいながら。


この世界では体力、視力……様々な感覚が普段のよりも発達しているらしく、ダイナの扱いにすぐに慣れのだが、それでも私はこの子を握るたびに後ろめたい気持ちが渦巻くようだった。