“はぁ”

諦めのようなため息を一つして


“カチャ”


「王様がたとえ戻ったからと言ってこの世界は元に戻るの?」

机の上に無機質な鉄の塊を置くと再び脱線してしまった話の続きをする。
こんなに質問ばかりしていたら、うざがられるかも知れないが、それ程私のおかれている状況は尋常ではないと言うことだ。


「王様は僕たちが最も信頼できる人物です」


愚問とでも言いたいのだろうか当たり前という表情で私を見つめた。
たぶん敵であるティックにとっても信頼できる……それだけ器の大きい人間なんだろう。

「わかったわ……それじゃあ最後に、貴方達はどうしてそのことを知っているの?」

おかしい話だ。国中の人達なら彼らも例外ないはずだが、一見普通の少年と執事だ。

「私はティックから聞いたから知っているだけです」

ビルさんがそう苦笑いしながらティックを見る。
ティックに聞いて欲しいということなのだろう。

「この事をはっきり覚えているのは僕だけです」

皆の視線が集中する中ティックが重々しく口を開いた。


「時の番人だから……それで納得して欲しいです」

時の番人だから先ほどの例外が当てあまるということか、相変わらず不思議な話だ。
全てにおいて確信というものが見つからない。


「わかったわ」


けれどそれ以上に納得できる言葉もないのも事実だった。