ダイナと呼ばれた拳銃を見つめる。


“ゴクリ”


こんなの現実世界では一生触ることのないものである。
私がいた世界では……人を殺す必要のない世界では全く必要のないもの……。

「こんなのっ……持てない」

こんな鉄の塊なんかより重い人の命を奪うことなんか出来ない。


「安心してください。ビルが作った麻酔銃です」

今まで会話に参加せず見ているだけだったティックが私の考えを察したのか優しく口を開く。


それでも生々しく感じるダイナの冷たさと重さは正直気持ちいいものではなかった。