「どういう事?」
「その魔法の唯一の弱点です。対象が存在すること。それが絶対条件だからです」
「つまり……。」

ビルさんを見つめながら状況を整理しようと呟いた。

「王様がいなくなった瞬間、女王の魔法は解けます。記憶の交換は相手が生きている限り可能なんです」

大きな魔法を使うさいのリスクだろう。

「私達のやるべき事は女王を倒して12年前の何もなかった時へと戻すことです。

だから……」


ビルさんが居間にある鏡台から何かを出しながら続けた。


「これをお使い下さい。貴女の武器です」

そう渡されたのは拳銃。

「え……あっ……おっと」


鉄の塊が私の両手にずっしりときた。
別にもてない訳ではないのだが、急に渡されると戸惑う重さである。


「……。」


目の前で目を凝らしてみる……。

よくテレビで見るようなものにトカゲのような絵が描いてあった。


「リボルバーです。名前はダイナと言います」

拳銃を見つめていたらビルさんが補足するように言った。