たぶん

「王様に入れ替わった……。」

簡単に言ったらそういうことなのだろうか?

「はい。その通りです」

理解してくれて良かったですと続けながらクスリと目を細めながら微笑んだ。


「それじゃあ……どうすればいいの」

事情を少しでも理解したら次は私の役目だ……。
その瞬間……えもいわぬ緊張感が流れた。


「女王を倒す……それだけです。単純ですがそれ以上に難しいことはないですよ」

ビルさんが先程と同じことを言う。
それ程単純なのだろう……。

「女王のまわりには王様を慕っている兵隊がいますので……先ほどのスペードなど」


“ゴクリ”


スペードと言うティックの言葉が頭の中に響く。
息を呑みながらスペードさんとジョーカーさんの記憶を思い出す。


「女王を倒し再び王様による国家がはじまれば元に戻ります」

「王様は……?」


ビルさんの話を遮るようにたずねる。
この話は王様が生きている前提だが、王様が生きているという保障は何処にある?




「女王が王様を殺すことはまずありませんよ」


ビルさんがそんな私をよそに確信でもあるのか自信に満ちた微笑みで答えた。