「ええ、人形です。女王は人の心をあやつる魔女なんです。彼女にかかればどんな人間も生きた人形……マリオネットになります」


例外もありますがと続けながらビルさんが私に説明してくれるが、それでも全部理解するのは困難だった。


「魔性の女?」


いわゆる悪女と呼ばれる昔の女王様のようなものだろうか?
頭の中にふいに浮かんだ言葉を取り出すように呟いた。


「魔性の女……とはよく分かりませんが、彼女が諸悪の根源と言うことは確かです」


聞きなれない単語の意味を考えるように眉間のしわを寄せながら少し困ったような表情をした。


「女王が国中の人々の王の記憶の部分を全て自分にすりかえたので」


困ったビルさんに助け舟を出すようにティックが呟いた。

「……。」


「女王は心をあやつる魔女といいましたよね。心の中にある王への忠誠心を自分に向くよう国中の人々に魔法をかけたのです」


私が理解していないのが見てわかるのだろう、今度はビルさんが子供に説明するように優しく言うが、私にとってはありえない話……その為わかるようなわからないようで頭の中がもやもやしていた。