カランコロン カランコロン……

 隣で歩く下駄の音が、狭い路地に響き渡る。

 「ねぇ、私たち彼カノっぽく見えるかな?」

 「どうなんだろな?」

 「最近祐希くん冷たいね」

 それはお前だろ?と思ったけど、口には出さないでおこう。

 せっかく朝のギクシャクした感じが取れたんだからな。

 駅前の本屋の前につくと、見覚えのある影。

 「李樹くん、久しぶり~」

 その影の正体に初めに気が付いたのは、涼香だった。

 「スズカ先輩、どうもです」

 「花火、行くでしょ?」

 「いや、俺は……」

 「リキ~、お待たせ♪ お友達?」

 店の中から見知らぬ、小麦色に焼けた肌の女が出てきた。

 俺たちを見て李樹に問いかけている。

 ってか、君誰?

 「先輩とその奥さん」

 「へ、へえ…」

 って、信じるなよ?

 「いえ、私たちはお付き合いしているだけです」

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 「李樹くんの妹さん? 可愛いね」

 「えっ!? お前妹いたっけ?」

 「あの……」

 「コイツは俺より5つ上だよ。でもって、相棒」

 「あ、七海です」