途中、コンビニに寄ってお菓子とジュースを籠いっぱいに買い詰めた。

 校門の前に辿り着くと、既に人集り。

 気合い入っているなぁ。

 「遅ぇぞ」

 「悪いな、買い出し行ってた」



 やっぱここは最高!!

 あの吐き気のするような人混みもねぇしな。

 空気が冷え、昼間の暑さが嘘のようだ。

 それぞれに陣地を取って寛ぎだした。

 これから舞い上がる大輪の花を今か今かと待ちわびている。

 ドーン ドドーン

 藍色に包まれた空に、ようやく一発目の花火が打ち上がった。

 「能村、浴衣よく似合うな」

 「エヘッ(笑) ありがとう」

 ……やっぱり来たんだ。

 「武瑠~? こっちに来なさい」

 「おぅ、今行く」

 本城、感謝するよ

 「七海さんは李樹といつ知り合ったんですか?」

 「1ヶ月前よ。海に行ったらね――……」

 彼女は少し前の出来事を懐かしむように、瞳を細めて語りだした。

 毎年海にいるからまた来いって言われたんだって。

 信じられねぇ

 いつも一匹狼でいるアイツがねぇ……

 「今日は、偶々この街に用があってね。まさか花火まで観られるなんて思わなかったわ」

 彼女の笑顔と花火が重なった。

 「見て見て~、ハートがいっぱ~い♪」

 涼香の声に空を見上げる。

 「ホントだ」

 ハートって形は苦手だけど、空に舞うこの形は嫌いじゃない。

 今、この花火を見ている人たちはきっと幸せになれるかも?

 柄でもなく、そんな事を思うなんて熱でもあるのかな?