「なんで?話しちゃいけないのー?」



叩かれた頭を摩りながら振り返るソウタ君。



けどあいつは真っすぐ私を見ていて、首に巻いていたマフラーを外した。



「巻いとけ」



ソウタ君の目の前を横切って私に投げ渡されたマフラーを受け取る。



「比奈ちゃんが心配で今日は一緒に帰ろうと思って待ってたんだ」



「お前は先帰れって言っただろーが」



はぁ…とソウタ君の言葉にため息を付く。



私は状況がよく飲み込めず2人の会話を聞いてるだけだった。



「俺だって比奈ちゃんの顔を見なきゃ心配だよ」



こっちに目を向けると私からマフラーを取って丁寧に巻いてくれるソウタ君。