「比奈!」



イズミ君に教室を覗きながら名前を呼ばれ私は立ち上がった。



「また明日ねー」



鞄を持ちセリと崇に言ってから歩き出す。



今日も居残り作業を手伝っていた私は、イズミ君に駆け寄った。



そのまま並んで昇降口まで向かう。



バイトがない日などはこうやって迎えに来て、家まで送ってくれるようになった。



最近じゃあ当たり前の光景に思えてくる。


昔からそうやっていたかのような錯覚。





「乗って!」


「イズミ君!いーよー!」



私の自転車に乗ると、いつものように私は後ろに座る。



いつしか敬語も取れて…



私の心も少しずつイズミ君に歩み寄っていた。