「秋元さん…何か用?
そこ俺の席なんだけど?」
と彼は自分の席を指差しそう言った。



「ふえぇっ?」


な…何で?
いつからそこに居たの?




彼は今日もいつもと同じ笑顔を浮かべドアに体を預けていた。







とりあえずチョコを後ろ手に隠し誤魔化そうとした。



けど…



「ねえ…それ渡すの?」



彼に気付かれてしまった。



でもまさか春人に渡そうと思っていることは分かっていないみたいだった。




「んーと。
…渡せなかったんだよね」




本当は…今なら渡せる。





でも
分かってしまったから…


彼が一つだけ大切そうにチョコを持っていることが。

沢山のチョコ達が入ってる紙袋とは別に…





それはきっとそういうことなんだろう。




私が今チョコを渡したところでその紙袋に一緒に入れられちゃうのだろう。





「ふ~ん」
彼は面白く無さそうに呟いた。





そして、
痛いほどの沈黙。




なのに彼はピクリとも動かない。ドアから離れようとはしない。